テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」大竹佑太さんに聞く情報番組「ディレクター」のお仕事

毎日、生放送で情報を発信し続ける報道番組や情報番組。
事件や災害、政治など緊張感あふれる内容からスポーツや芸能などエンタメ性の高いものまで幅広いニュースを扱う現場では、正確かつ掘り下げた取材内容をスピーディーに視聴者に届ける技術が必要とされます。
そんな現場の最前線で働くワイズの若手ディレクター・大竹佑太さんに具体的な業務内容や、番組で働く上での心構え、必要なスキルなどを聞いてみました。

Q まず、「羽鳥慎一モーニングショー」でどのような仕事をしていますか?

基本的には番組の中で自分が担っているのはニュースのVTR制作がメインです。
その上で放送までの流れとしては、まずは題材決めから始まりますね。
当日起きた事件や事故、世間の注目が大きい話題などを取り上げることが多いです。
モーニングショーは報道番組の中でもワイドショーにジャンル分けされる番組なので、起きたことをただ放送するだけではないんです。

例えば事件の取材では加害者はどんな人物だったのか?被害に遭われた方との関係は?そしてなぜ事件が起きてしまったのか?などの取材+さらに深掘ったところまで取材することを意識しなくてはなりません。

その次は編集の作業になるんですが、編集で気にかけているのは「テロップ」ですね。視聴者が見やすい色使いや大きさになっているか、文字ばかりになって映像が見づらくなっていないか、見る側の視点を気にするように心がけて作業します。

次にナレーターさんに原稿を読んでもらうナレーション録りを行うのですが、ここでもイントネーションは合っているか?VTRのトーンにナレーターの読み方が合っているか?などニュースを見る視聴者のことを考えながら作業を進めます。
最後にVTRが完成したらOAが問題なく放送できているか立ち会いをするというのが自分がやっている仕事の流れですね。

Q 大竹さんがモーニングショーでディレクターになるまでの経緯を教えてください。

自分は専門学校を卒業してまず入ったのはテレビの照明の業界でした。照明がやりたかったというよりは、学生時代からテレビ番組の制作に興味があり、様々な番組の雰囲気を知るために多くの番組に携わることが出来る照明の仕事をやってみたいと思ったからです。
当時、ニュース番組に携わることが多かったのですが、その時に経験した生放送特有の緊張感が自分的には楽しく、ニュース番組の制作に携わってみたいと思ったのがきっかけで、転職活動を始めてから報道・情報番組を多く手がけていたワイズの存在を知り、入社を決意しました。
それからモーニングショーへの配属が決まって3年弱ADを経験して、ディレクターに昇格。ディレクター歴でいうと現在6年目を迎えています。

Q ADスタート時に苦労したことはどんなことでしたか?

一番苦労したのは人を覚えることですね。
自分は人の名前を覚えるのが苦手な方で、番組には100人以上のスタッフがいたため、皆さんの顔と名前を覚えるというのは本当に大変でした(笑)
あとは生放送番組のカンペ出しは人生で経験したことが無いくらい緊張したことをよく覚えています。収録を行うスタジオにはたくさんのカメラがあり、それらの位置を把握せずに自分の姿が写ってしまうとマズイですし、カンペ出しを間違えると放送事故に繋がってしまうかも、というプレッシャーがあったからです。

Q ディレクターとして現場に立っている今、どんなことにやりがいを感じますか?

やりがいを感じるときは、自分で取材をして原稿を書き、編集したVTRが全国ネットで放送されたときですね。

最近だと金の価格高騰の特集を取り扱ったのですが、取材対象者のリサーチが上手くいき、想像以上のコメントや映像が撮れ、プロデューサーから「良いの撮れてるね!」と褒められた事や、周りの家族や友人からも「面白かった」「良い放送だったね」と感想をもらえたとき「この仕事やっていて良かったな」と思ったりします。
こういうストレートな反響を得られることが情報番組の醍醐味じゃないですかね。

あとは仕事のやりがいとはちょっと違いますが、AD時代にメインキャスターの羽鳥アナや他の演者との親睦会があったときに一緒にご飯に行く機会がありました。楽しいお話をしながら食事ができて、あの時初めて「この業界入って良かったな」と、しみじみ感じました(笑)。

Q. 情報番組ではどんなスキルが求められるか教えてください。

圧倒的に必要だと思うのは情報の正確さだと思っています。
誤った情報を放送することで視聴者の混乱を招いたり、取材先にも迷惑をかけることになってしまうので、数字など間違えないように正確なデータと照らし合わせる作業は欠かせませんね。

また、生放送という事もあり、限られた時間の中で作業するスピード感も大事です!取材を行う際はいつまでに取材を終えないと編集が間に合わなくなるか、編集を行う際は何時までに原稿を書き、何時間で編集を終えないといけないか、全てを計算しながら作業します。
「スピード」と「情報の正確」さ。この2点に尽きますかね。

Q 今の番組でどのような時に「大竹らしさ」を発揮していますか?

僕らしさ、で考えるとやはり情報番組のディレクターなのでニュースの企画選びですかね。実際に取材に行きたい、と思えるような興味がある内容を重点的にリサーチします。
例えば、自分は政治や経済よりは社会派の企画の方が興味が強いので、不法投棄の瞬間を狙う「張り込み系」の取材や、買い取り業者などの取材を行う「密着系」といったような自分の足で稼ぐ企画を選ぶことが多いです。

あとチームの中での自分らしさを発揮するのってすごく大事だと思っています。
VTR作りって1人で作るものではなく、何人かでチームになって作ることがほとんどで、仲間とのチームワークを意識しつつ、その上でいかに自分好みのエッセンスを多く取り入れられるか、自分色を出せるかが、「大竹らしさ」を発揮する勝負だとも思っています。

Q 今の番組の仕事をする中で、ワイズはどのようなサポートがありますか?

番組内にワイズの先輩がいて、いつでも相談できる環境があったのは自分がここまで続けてこられた理由の一つです。
特にディレクターになって最初の方は助けられました。
取材に行く時に現場でどんな演出をすればよいか、取材対象者とはどう接すればよいか、原稿を書く時も構成のポイントなど的確なアドバイスをもらえたり。
自分がここまで成長できたのは、やはりこの会社で良い先輩に出会えたのが大きいな、と感じています。

Q 今後の目標、展望を教えてください。

今は情報番組をやっているのですが、今後は別のジャンルの番組もやってみたい気持ちもありますね。
報道番組や情報番組は、取材を含めた撮影のノウハウや、VTRの構成を考えて、原稿化し、編集していく流れなど、あらゆる映像制作の基礎を全て学ぶことができます。

今後は今のスキルをもっと磨いて、いろんな番組を作れるディレクターになりたいです。
例えば…、そうですね。スポーツがすごく好きなのでスポーツニュースやドキュメンタリーなんかも挑戦してみたいです。

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