ワイズには2本の柱「テレビ番組制作」と「企業映像制作」があります。
企業映像と一言で言っても「ブランディングムービー」「商品PR」「リクルート動画」など様々なジャンルがあり、演出方法もドキュメンタリーやドラマ、ミュージックビデオの要素を取り入れたものなど幅広い表現が求められます。
テレビの枠に捉われない副島さんの仕事内容と原点。そして、映像の未来にどのような可能性を感じているのか聞いてみました。
Q 副島さんはワイズの企業映像制作のチームリーダーという立場ですが、具体的にはどのような業務を行っているんでしょうか?
私は企業動画のディレクションだけではなく編集やCG制作、選曲なども自分自身で行い、納品までワンストップで映像を制作することが多いです。
それと同時にテレビ番組のテロップ入れなども行っていますので、自分で考えた演出を編集作業を通じて形にできることにやりがいを感じています。
また、最近ではもう少し広い視野で映像制作に取り組めるよう、プロデューサーという立場でも活動を始めています。
プロデュース業では、自分だけではなく、制作メンバーの様々なアイデアから生まれる新たな視点や発見に刺激を受けますし、日々勉強になることが多いですね。
これからは自分自身が今必要とされている役割は演出面なのか、編集面なのか、プロデュース面なのか、その時に応じた自分の役割をしっかりと把握し、実行することで、弊社のキャッチコピーでもある「遊び心と独創性」という映像制作への想いをより具現化し、結果的にその先にいるお客様へクオリティの高い映像作品を提供していきたいと思っています。
Q 副島さんが企業の動画作りを志すまでの経緯を教えてください。
私は大学卒業後、テレビ番組の制作会社に入社し、フジテレビの夕方の報道番組に出向していました。そこでは常日頃のニュースだけではなく、警察密着からグルメ系の特集まで、色々な経験を積ませて頂きました。
その中でターニングポイントになったのは東日本大震災を経験したことだと思います。
その取材していく中で、そもそも「何のために映像を作る仕事をしているのか?」という価値観自体に疑問を感じるようになりました。
ただ、この時にわかったことは、自分が知った事実をより正確に伝えることで少しだけかもしれませんが、誰かの役には立てるということ。
この頃から、自分自身で感じたことを構成演出するだけではなく、自分自身で編集もした映像を届け、誰かが今必要している情報の源として役に立ちたいということを意識し始めたんです。
それから独学で編集の勉強していったのですが、勉強を始めてから1年くらい経つと、これからは演出も編集もできる人材が信用を勝ち取り、生き残っていけるのでは、と考えるようになっていったんです。
そんな中、勤めていた会社を退職し、今から10年前くらいにワイズが請け負っていたとある企業動画の制作をお手伝いする機会があったのですが、「これからは企業制作の動画も需要が増し、企画演出から編集、納品まで ワンストップで制作できる人材が生き残っていく」という考え方が、私が向いているベクトルとマッチしているなと感じ、入社しました。
それから私が現在まで、企業系を中心に映像制作に取り組む理由は、「社会との繋がりを持続的に得るため」という理由があるからだと思っています。
今まで業界で通じていた会話、常識、金銭感覚などでは通じないことがほとんどで、このまま社会との繋がりや、一般企業の考え方を知らない状態で映像制作を行なっても、お客さまが伝えたいことをうまく映像制作に反映できないと思ったんです。
これをきっかけに、一般社会に通じる仕事への取り組み方を意識するよう心掛けていきました。
次第にリピートして頂けるお客さまが増えるようになったり、第一線で活躍されているお客さまとの会話が、フラットな目線でできるようになったりと、「お客さまの伝えたい情報を的確に届けることができる」という私自身の社会の中での存在意義みたいなものも、示していけるようになったと思っています。
Q「企業動画」と「テレビ番組」は同じ映像でも何が違うと感じていますか?
テレビの場合は、視聴者という直接リアクションを感じることができない人に向けて、かつ視聴ターゲットは万人に対して作り出す必要があります。
企業動画の場合は、常にお客さまと直に対峙して、お客さまに求められていることをまず第一として制作していきますし、視聴ターゲットは予め定められていることが多いです。
そして何より実際に納品した映像に対して、ダイレクトにお客様のリアクションを感じることができるという部分がテレビとの最大の違いかと思います。
実務での一番の違いは企業動画制作には決まった制作フローがない点だと考えています。
テレビであれば、それぞれのプロフェッショナルによる分業の世界でもあるので、ある程度の制作フローが存在します。
私が担当する企業映像制作においては、約束された制作フローは存在しません。
撮影が終わる前からCGなどの映像加工の制作を行う場合もありますし、編集もBGMから選ぶ場合もあります。自分自身が効率が良いと思える制作フローで進めていけることがテレビ番組制作との違いの一つだと思います。
もう一つ挙げられる違いは、対峙する担当者の違いです。
通常テレビ番組制作では、プロデューサーなどの映像のプロが最終的なジャッジを下します。
企業動画制作の場合は、人事部や広報、開発部など、あくまでも映像制作が本業では無い方たちが映像に対するジャッジを下します。
これも大きな違いで、プロデューサーなど映像のプロにチェックをしてもらう場合、構成の意図や完成イメージ含め、暗黙の了解で汲み取ってもらう部分は多くあると思います。
ただ、映像制作の経験のないお客さまと映像を作り上げていく場合は、まずどんな完成イメージなのか、より詳細なコンテとして提示し、最終的な完成系のイメージをお客さまと相違のないように細部まで共有しておく必要があります。
撮影や編集に取り掛かるまでのプロセスはテレビと企業動画では少し違ってくるのではないでしょうか。
Q 副島さんが考える「動画制作の未来」を聞かせてください。
画媒体は今大きな転換期にあると思っています。
それは人にしかできないと思っていた部分、例えば構成や演出、編集などが機械によって補えるようになってきているということです。
現にChat GPTの登場により構成台本などのたたき部分はすでに活用できるようになっています。
人にしかできないと思っている、その固定概念を崩して、いかに機械と共存してよりクオリティの高い映像制作を行なっていくが重要になってくると思います。
私は決してそれがネガティブなことだとは思っていなくて、効率よく動画制作を行なっていく観点からすると、台本作成や仮編集の部分などは機械に任せて、プロが介入すべき部分はプロが行うハイブリットな制作のあり方が、お客さまにとっても制作者にとってもメリットがあることだと思っています。
機械との共存により効率よく、かつプロの知見によるクオリティの高い動画が担保できる未来では結果として映像業界の需要自体が高まる流れになるのではないのでしょうか。
Q 企業動画制作を行う上でワイズではどのようなスタンスでお仕事をされていますか?
基本的な裁量は任せて頂いているというのが今の状況です。
基本的な裁量というのは、案件の受注の判断、予算の作成、演出、編集などが当てはまるかと思います。
もちろん裁量を任せてもらうまでは、様々な経験を積んでいく必要がありますが、ある程度の結果や経験を残すことで、自分がやりたい演出などを会社が信じて
任せてくれます。
ただ一つ注意が必要なことは、自由に自分の制作したいものをやっていくということではありません。それではフリーランスと変わらなくなってしまいます。
ワイズが掲げる「遊び心と独創性」。この会社の方向性に私自身共感していますので、これを具現化するための動画制作を行なっていくことこそがワイズで映像制作に関わる大きな意味だと考えています。
そして、「遊び心と独創性」を具現化するために、ある程度の裁量を任せてもらえるという仕事のやり方は、ワイズだからできることだと思っています。
Q 今後の目標、展望を教えてください。
先ほど述べましたが、映像制作は今転換期にあると思っています。
機械との共存。これによって、私たちの映像制作への関わり方も大きく変わってくるでしょう。
今後は、そんな機械との共存により、まずはお客さまへの提案の幅を広げていきたいと思っています。
これまでは企画や動画の初稿にしても、一つのパターンしか提案できなかったものを、機械の知識を導入することで、常に複数のパターンを、これまでと変わらない労力で提案できることで、お客さまの選択肢は増え、映像制作に関する満足度は向上すると考えています。
そして、テクノロジー企業へのアプローチを通じて、機械の力で効率の良く、かつ人の力でオーダーメイドなクオリティの高い映像が生み出せるハイブリットな映像制作フローを近い将来に実現できればと考えています。